■第33輯 大坂町奉行吟味伺書
平成3年11月刊行
本書の史料はすべて大坂東町奉行所の与力であった八田五郎左衛門(6代目と7代目)が作成したもので、近世大坂の司法に関するものと、18世紀後半の与力・同心の人名・職名録及び八田五郎左衛門家の由緒書を収めました。
司法関係の史料は「御吟味物科書并御伺書控」と言い、18世紀の中頃(寛延3年頃)にまとめられ、大坂町奉行が扱う刑事事件のうち、上司である大坂城代に量刑の判断を仰いだ事件の「吟味伺書」を編纂したものです。当時の裁判では民事を「出入筋」、刑事を「吟味筋」と呼んで区別していました。「吟味筋」はさらに、担当する大坂町奉行独自の判断で判決を下す「手限」と、上司である大坂城代に伺う「吟味伺」とがあります。
江戸幕府は、3奉行(町奉行・勘定奉行・寺社奉行)と遠国奉行があつかう裁判のうち重大なものは老中以下に伺いをたてることを義務づけましたが、上方ではその権限の一部を京都所司代や大坂城代に委ねたのです。大坂町奉行が大坂城代に提出する「吟味伺書」は、一般的に、前文に事件の概略、ついで被告ごとに、名前と入牢日・犯罪内容・黄紙下ヶ札(判決草案)・大坂城代の添付する付札(判決)の順に書かれました。数件をまとめて1冊の帳面にするのが本来の形で、形式的には大坂町奉行の名で提出されるものですが、実際には、担当与力(掛り役人または口書掛り)本史料は吟味伺書そのものではなく、判例作成を目的として編纂されたもので、18世紀前半の事件17件を載せています。
水夫が関わる事件が多いのも水の都大坂の特徴を示していると言えましょう。